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May 08, 2005

隣のおじさん

 王子駅からJR京浜東北線の上り電車に乗っていた。上中里→田端→西日暮里→日暮里… 薄曇りの春の午後を電車はすっ飛ばし、その心地よい揺れが眠気を誘うのである。

 ところで、子どもというものは、もともと落ち着きが無いものだが、電車の中の子どもというのは、それに100回ぐらい輪をかけたように、落ち着きが無いような気がする。

 その春の電車では、ぼくはシートに座っていたのだが、途中の駅で子どもが隣に座ってしまった。案の定じっとしていないのだ。子どもの正面に、その子の連れらしきお母さん風の女性1名、おばあちゃん風の女性1名が立っていた。二人は会話をしてはいるが、時々「じっとしていなさい」といったようなことを子どもに言っているようであった。

 電車が鶯谷に近づいた時のこと、それまで窓を向いて座っていた子どもが、車窓の景色に飽きたとみえて、グルっと向きを変えた、その瞬間、その子の靴がぼくにぶつかってしまった。それだけのことだったのだが、間髪いれず、おばあちゃん風が注意をした。

 「だめでしょう、隣のおじさんに迷惑でしょう!」

 その人たちは上野で降りてしまったけれど、降りるときも、「ちゃんとまっすぐしなさい、隣のおじさんに邪魔でしょう!」といったようなことを注意していたのだった。

 ぼくは、これまで実年齢よりも若く見られることが多かったので、あまり気にしていなかったが、子どもの靴がぶつかったことよりも、あのおばあちゃん風が言った“隣のおじさん”というコトバに、「ハァ?」という気分になってしまった。そして、その後もうしばらくの間は、そのコトバをうまく消化しきれずに、隣のおじさんが頭を駆け巡っていたのである。(K)

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